
佳作 本の贈りもの 野島孝子・京都府・51歳 「まだ、落ち込んでいますか? 今のお母さんにピッタリの誕生プレゼントを選びました。あなたの力になる事を願って贈ります」 私の誕生日に、こんな文面のカードが添えられて、一冊の本 …
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佳作 オリオン星座 加藤文子・長野県・35歳 夜空を見上げて星を見ていたら、冬の訪れを感じた。冬が近くなると会いたくなる本がある。本棚へと急ぐと、読んで欲しそうに、青い本がこちらを見つめていた。「生意気ばかりいうな」 …
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佳作 本がもたらしてくれたもの 安田直子・長野県・40歳 七歳の娘が眼の手術をすることになり、近くの眼科医からの紹介状で、自宅から遠く離れた大学病院に入院した時のことだ。私は、娘の付き添いで二週間病院で寝泊まりした。そ …
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佳作 墨入り『嵐が丘』と父の愛 吉川弘子・東京都・54歳 物心ついた頃から、父からのプレゼントは本と決まっていた。 誕生日の朝目覚めると部屋の中がなんだか暗い。枕元にどーんと積まれたダンボールの山が朝の光をさえぎってい …
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佳作 ふたりは曾祖母とひ孫 髙森美由紀・青森県・31歳 曾祖母の自慢は、学校へ行かなくてもひらがなを読めることだった。 私が小学校低学年のとき、宿題には、国語の教科書を音読することが課されていた。家族の誰かに聞かせてサ …
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佳作 空のように雲のように 細野利奈・北海道・35歳 雲・・・・・・・・・・・・八木重吉 くものある日 くもは かなしい くものない日 そらは さびしい その詩に出合ったのは偶然でした。一冊の漫画の中。ああ、この短い言 …
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佳作 よし!行くよ 奥津博士・北海道・62歳 【むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんは山に木を切りにおばあさんは川に洗濯に行きました】 四歳の私は週に二度、母の自転車に乗せられ …
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優秀賞 吉田先生 坂本ユミ子・兵庫県・54歳 私には忘れられない先生がいる。小学校三、四年生の時、担任だった吉田先生。母よりもずっと年上で、声を荒げて叱ることはなかったが、威厳のある女の先生だった。いつもこわい顔をして …
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優秀賞 つづき 藤田徹郎・新潟県・48歳 母が認知症になった。八十三歳という高齢だったので、多少は覚悟していたものの、改めて診断がくだると、息子の私としては、ショックだった。教師を退職してから、俳句の会、童話の会などに …
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優秀賞 姑(はは)と大活字本 嶋野靖子・埼玉県・68歳 姑と暮らした三十九年間は夫と暮らした同じ時間よりもずっと長い。特に私が退職してからの十三年間は長い時間だった。その時間、姑の面倒をみたり介護をしたかといえばそうで …
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