2026年2月の”推し”絵本
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今月の話のタネ
第40回「家の光童話賞」 最優秀賞 柳 咲絵さん
JAグループの家庭雑誌『家の光』で募集した、 わが子に贈る創作童話・第40回「家の光童話賞」。応募作品687編の中から、最優秀賞に輝いた 「とまっておいき」の作者、柳 咲絵さんに お話を伺いました。
柳さんは奈良県奈良市在住。作品は、『家の光』2026年1月号に掲載されています。
①家の光童話賞に応募したきっかけはどんなことでしたか?
ひとりでもお話が読める――。そんなうれしさを感じはじめたちいさな人たちに向けて、ちいさなお話を書いてみたいな、と思ったのがきっかけです。てのひらにおさまるような、ポケットのなかにしのばせられるようなお話って、なんだかすてきですよね。
木や花、鳥や虫、雲や風。普段から、身近な自然のものを題材に選ぶことが多いわたしには、「家の光童話賞」のテーマが合うんじゃないかな、と思ったのも理由のひとつです。
春先から、原稿用紙5枚ぐらいをイメージしていくつか書いてみましたが、なかなかしっくりくるものが書けず。気分転換に外に出て、春の原っぱを眺めていたら、この『とまっておいき』の物語の種が、ふわふわとどこかから飛んできてくれた気がします。
②受賞作「とまっておいき」には、おねえちゃんとけんかしてしまったゆいの様子が自然を通して、微笑ましく描かれています。作品に込めた思いをお聞かせください。
鈴木びんこさんの温かみあるイラストにも注目です。
身の回りのだれかとぶつかったり、うまくいかなかったりで、もやもやすること、しょんぼりすること、ありますよね。子どもでもおとなでも。
そんなささくれた気持ちのときでも、ふと外に出て空を見上げれば、ゆったりと雲が流れ、足元ではちいさな生きものたちがそれぞれにいのちを謳歌していて。葉を広げる草花、そのうえで蜜を集めて回るちょうちょやみつばち、さえずり合う小鳥たちの声……。
ゆいの熱くなった気持ちの外側で、ゆいの気持ちとは関係なく世界は流れていっている。
ただその事実が気持ちをなだめてくれるっていうことがあるように思うんです。
そして、そういう時間にひとり、身をおいたときこそ、ふと、ほおをなでる風のやさしさや土のあたたかさに気づくんですよね。
ゆいが、花かんむりごしに見つめていたちいさな世界を一緒にのぞいてもらえると、うれしいです。
草花がやさしくゆれています。
③これから童話を書いてみたい! という方に、メッセージをいただけたら幸いです。
わたしがお話を書くようになったのは、2024年の春のこと。もともと、書いてみたいなという気持ちは持っていたのですが、日々の慌ただしさに流されてしまっていたり、最後までお話を書き切れる自信がなかったりして、ずっと憧れているだけでした。
でも、いろいろあって、今なら書けるかも、というタイミングがやってきたのです。
自分のなかに溜まっていた言葉たちを物語にして、外に出してあげたいという思いが高まっていたときでもありました。はじめて書いた原稿用紙10枚の童話は、つたないものではあったけれど、最後の1行を書き終えたときの喜びは今も忘れていません。
いつ始めても遅くはない、はじめから納得のいくものが書けなくても大丈夫、と今も思いながら書いています。
大切なのは、ただ一歩踏み出すことなのかもしれません。
④柳さんの “推し”(おすすめ)作品を教えてください!
折にふれて、読み返す3冊です。
(1)「わたしのぼうし(新装版)」
作・絵 佐野洋子
出版社 ポプラ社
税込価格 1,650円
愛着のあるもの、たいせつなものがあるってすてきなこと。でも、だからこそ、それを失ったときのかなしみも大きくて。あたらしいぼうしをなかなか受け容れられない気持ちが、 描かれている「わたし」のうしろ姿からも伝わってくる一冊。
(2)「ゆきのたんじょうび(こどものとも 2022年12月号)」
文 片山令子
絵 岡田千晶
出版社 福音館書店
税込価格 440円
雪の日生まれのミチくんの誕生日に、お母さんが買ってきてくれたケーキ。雪の降る出窓にそっとケーキを置くと……。岡田千晶さんの絵に包まれながら、ちいさなファンタジーの世界へ。あたたかな感情が雪のようにしずかに降り積もります。
(3)「ふくろうくん」
作 アーノルド・ローベル
訳 三木卓
出版社 文化出版局
税込価格 1,045円
冬になると、かならず読みたくなる一冊。5つのお話からなる絵童話です。
ちなみに、同じ作者の「がまくんとかえるくん」シリーズも大好き。
どこか哲学的なふくろうくんの日常が、ユーモラスでとても愛おしいのです。

