
いつでも、どこでも、気軽に手に取れる絵本、あらゆる分野を網羅して、心の成長のために、学びのために、安らぎのために、多くの宝物をくれる絵本、どうぞ手に取って読んでみてください。
ひとりで読むのも、家族で読むのも、多くの子どもたちに読み聞かせるのも自由です。
絵本の選者 正岡慧子(絵本・児童文学作家)
絵本の
SOBA(そば)はクロアチア語で「部屋」のこと。
みなさんが絵本のSOBA(そば)で過ごす時間がより充実することを願って情報をお届けします。
2025年6月の”推し”絵本
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今月のお客様
絵本作家・イラストレーター
星野イクミさん

プロフィール
奈良県生まれ。嵯峨美術短期大学卒業後、デザイン事務所、イラストレーション事務所でアシスタントを経験後フリーランスとなる。
月刊誌などの挿絵を中心に、14年ほど前から絵本の制作をはじめる。
日本児童出版美術家連盟会員
最近描かれた作品をご紹介いただけますか?

キンダーメルヘン 4月号
「なりきりすいぞくかん」
作・絵 星野イクミ
出版社 フレーベル館
税込価格 410円
ストーリー
遠足で子ども達が水族館にやって来る日の前日。たこさん以外の海の生き物達はみんな具合が悪くなってしまいます。そこで変身が得意なたこさんが、子ども達に喜んでもらえるようみんなになりきって奮闘します。
この絵本を描くきっかけは何でしたか?
数年前にテレビでミミックオクトパスを紹介しているのを見て、はじめてその存在を知りました。変身のレパートリーの数、その完成度に衝撃を受けたのでした。
それから数年経ってある時ふと、水族館の館長がたこだったら?という想像が膨らみ、記憶の奥にあったミミックオクトパスに繋がりました。私が最初に作ったお話は、一見普通の水族館のようにたくさんの海の生き物がいるようだけれど、実はたこが一人で変身していたのでした〜、というものでした。
ラフを見た編集者さんの意見は、たこさんの一人芝居のようなので、読者が共感できるストーリーを入れたいということでした。例えば、子ども達が遠足に来る日に他の仲間達は具合が悪くなってお休みすることになり、たこさんがみんなに変身して頑張るとか‥‥。と提案してくださり、「それだ! 今のもらっていいですか?」ということに。こうしてその場でお話の大筋が出来あがりました。


製作にあたって、ご苦労されたことなど教えてください
まず、たこさんが変身しそうな海の生き物をいろいろ考えて、穴あきのしかけが効果的になるよう何度もダミーを作り練っていきました。それと並行していくつもの水族館に足を運び、外観、立地、館内の間取り、照明、水槽、野外ステージなどお話に合うようイメージを固めていきました。

作画で苦戦したのは照明の表現。特に水槽を見上げる子ども達の顔色が難しかったです。肌色では水族館にいる感じが表現できないし、リアルに深海っぽい色にすると顔色が悪く見える。何枚も試し描きをして迷いを払拭していきました。こうして最初に編集者さんに会ってから3年ほどが経ってようやく形になりました。じっくり時間をかけて細部まで考え、穴あきや縦観音のしかけ(折りたたみを上に開くとたこさんのあざらしショー)も入り、盛りだくさんの絵本が出来あがりました!

ご自身の作品でお好きな絵本をご紹介ください。

キンダーメルヘン
「ぴかぴかのきでだいへんしん」
文・絵 星野イクミ
出版社 フレーベル館 税込価格 390円
ストーリー
月刊絵本です。どろんこになった動物達が森の中でシャワーの出るぴかぴかの木を見つけ、つぎつぎと浴びていきます。すると黒馬だと思っていた動物はシマウマだったり、熊だと思っていたらパンダだったりと、本当の姿が表れていく というお話です。

「こんがらがったい」
文・絵 星野イクミ
出版社 フレーベル館
税込価格 1,430円
ストーリー
たこくんといかくんが一緒にあやとりをはじめると足がからまり合って、 こんがらがったい! そこへくらげさんがやってきてほどこうとしますが、 くらげさんもこんからがったい! その後も足の長い生き物がどんどん こんがらがったいしてしだいに大きな塊に。さぁ、どうなる?!

「へんしんねこ」
作・絵 星野イクミ
出版社 鈴木出版
税込価格 1,320円
ストーリー
ころんと太った猫のくろちゃん。壁の穴を抜けようとしたものの抜けなくなってしまいました。やっとのことで抜け出すと体がびよーんと伸びてしまいました。体が長くなったくろちゃんを見た家族は、くろちゃんをすべり台にしたり、ハンモックにしたり、橋にして川を渡ったり‥‥。
はじめはいやいやだったくろちゃんですが、しだいに楽しくなってきます。